プレマッチ最終戦
ようやく、一ヶ月に渡る天鳳プレマッチがその幕を閉じることになった。
今回もとりあえず簡単な感想だけと思ったのだけれど、せっかくの最終戦だし興味深いこともあったので書けるだけいろいろと書いてみようと思う。
そもそも今までプレマッチの件について大したことを書いていなかったのは、内容がどうしても牌譜に関連する話になってしまうからだ。
俺は基本的に他人の打牌について何か思うことがない。正確には、ある程度の実力者が打つ牌であればどれでも似たようなもんだと思ってしまう。
根が適当な人間なので、たとえば1+1なんて2でも3でもよくて、100とか1000でなければいいよと割と真剣に考えている。
だから当然細かな打牌選択についての文章も書けなかった。残り枚数が1枚多いからこっちを切るべきだよとか、口が裂けても言えたもんじゃない。
けれど今回は少し事情が違う。
単純な一打一打の話ではなく、麻雀(大会)そのものに関わってくる部分であり、個人的にちょっと興味深いテーマがあった。多分それは、ただ麻雀を打つだけなら何も気にしなくて良い部分であり、プロと呼ばれる人種だからこそ、プレマッチという場に立たされたからこそ考えなければならないことなのだと思う。
事の発端はこのシーンから。
水巻プロは、この6sを見逃した。
ここに至るまでの経緯で、水巻プロには既に優勝の目はなくなっていた。
大会において優勝の可能性を失った選手がどうするべきなのか。
6s見逃しには、この問題に対する一つの考え方が提示されている。
続いて水巻プロは、このリーチに対して一発で7pを打つ。
これまでの対局を見ていれば、差込みと言って構わないレベルの打牌だ。
この時ライブでは各所で疑惑の声が上がり、誰もが水巻プロの真意を測り、憶測を飛び交わせていた。
大きな動きがあったこの二局だけを見ても、明らかに得をしている人と損をしている人が居る。
得をしているのは見逃しを受けた浅埜プロと、差込みを受けた吉田プロ。
損をしているのは、他二人に有利な状況を作られたという意味で鈴木プロ。
トータルでトップを走っていた鈴木プロだったが、最終戦一つ前にして吉田プロと浅埜プロに僅差で詰め寄られてしまった。そうなる原因の一端となった二局を作り出した水巻プロに対しては、この時点で賛否両論の嵐。どちらかというと否定的な意見が多かったように思う。
否定側の意見は大筋で、場を歪めるような打牌を意図的にするのはどうなのかというものだった。
純粋な個人戦である大会において、特定個人に対して明らかに有利不利となる行為があれば、当然それによって結果が変わってしまう可能性を生む。運の割合が高い麻雀とはいえ、一人に対してだけ不利な行動を取る人間が居れば、当然された側の勝率は落ちるだろう。
天鳳プレマッチにおいて、優勝の可能性が限りなくゼロに近い選手が取るべき行動は定められていない。審判制度も実現しなかった以上、その打牌については一切の制限を設けられていないはずだ。
つまりこの時点で水巻プロが取った行動について、それを反則だとかペナルティを課すということはなく、残す最終戦を僅差の三人と大きく離された一人で迎えることになった。
こうして始まった最終戦は鈴木プロが東1局で3900オールをツモったリードを保ち、南2局の水巻プロ親番まで進む。しかしここで水巻プロが6000オールをツモあがりトップ目へ。吉田プロは残り9600点と非常に苦しい場面に追い込まれてしまう。
飛び終了も見える局面、一本場で水巻プロにこんなテンパイが入った。
あがれば12000で吉田プロが飛び、その時点で鈴木プロが優勝を決めてしまう。
やはりと言うべきか、水巻プロはこの東を見逃した。
本来なら終わっていたかもしれない最終戦は、これによりオーラスまでもつれこむことになる。
※感想戦で吉田プロは「水巻プロは自分から当たらないと思っていたので東を切った」と発言しているので、実際にここで終わっていた可能性は無いのですが。
兎にも角にも、ラス目でオーラス親番を迎えた吉田プロが最後に意地を見せつける形になり、1500、12000と点数を積み重ねた上で南4局3本場にこのリーチが入る。
しかし、負けじと鈴木プロも同じ4p待ちでのテンパイを入れる。
奇しくも同じ4p待ちとなり、ツモった側が優勝。
水巻プロに1枚流れた時点で残り2枚となり、こうなればもはや出来ることは何もない。
後はもう、どちらの運が強いかだけの勝負。
勝利の女神は吉田光太プロに微笑んだ。
優勝、おめでとうございます。
で、大団円といけば俺もこれで寝られてすっごく楽なのですが、そうは問屋が卸さないって話なんですよね。
最終戦と、その一つ前にあった水巻プロの見逃しと差込みについては、おそらく見ていた誰もがその真意を知りたかったことだろう。もちろん俺も聞いておきたかった。今後、別にこういう大会を打つ予定はないし打ちたいともさして思わないけれど、2pを切るか4sを切るかなんて話よりずっと面白そうだったから。
終了後まもなく感想戦は始まり、水巻プロはこうコメントした。
「観客に最後まで楽しんでもらえるよう、一人にリードさせず、最終戦まで三人に可能性がある状況を作りたかった」
こちらは雑スレで拾ってきたイメージ画像。
要約しての話なので、本当はもう少し細かいことを語っていたけれど、大筋ではこれで間違っていないはず。
そしてこれは最終日三回戦終了時点までの話であり、水巻プロの中で天鳳プレマッチはここで終わっていたのだ。
目論見としては見事に成功している。大会で三人に優勝の目がかなりの確率で残されている状況というのは大会的に考えれば2番目に面白い状況だ。1番はもちろん四人に可能性が残されていることだけれど、さすがにそれは無理がある。賛否は別にしても、そういう意味では水巻プロは自分がしようとした事を完璧にこなしたと言えるだろう。
優勝の目がなくなった人が何をするべきなのか。
これについての答えは、正直よくわからないままだった。
飛びなしのルールであれば、最後の親番まであきらめるべきではないだろう。
着順によって賞金が変わるのであれば、一つでも上の席を狙うことに意味がある。
けれど、天鳳プレマッチはどうなのだろう。
誰かの点数が25000を割れば終わるし、得られる賞金もない。
最初からオリて参加する意思を見せない。
ネット麻雀らしく回線を切ってみる。
水巻プロは、こういう手段をとることも出来たはずだ。回線はさすがに切らないにしても、最後まで参加せずオリに回るという考えはあったと思う。事実、コメントでは「最終戦をどうするか迷ったままで、判断的に微妙な所もあった」と発言している。
けれど、水巻プロは最後まで一つのことだけは迷わなかった。
「見ている人たちを楽しませたい」
それが成功に繋がったかどうかは、個人的には大した問題じゃない。
(あくまで個人的なのは、プロならそういう部分を結果で示すべきという考え方や、故意の差込みや見逃してそういう状況を演出するべきではないという意見も理解できるから)
やはり興ざめしたという人も居るだろうから、完璧に観客を楽しませたとはさすがに言いがたい。水巻プロだって本来なら自分がトップを取ることで盛り上げたかったのだろうし、それが叶わなかったから苦心の末ということであり、こういう状況は納得のいくものではなかっただろう。
それでも最後まで自分に出来ることを探し、実行に移したという部分は評価したい。俺は「結果が全て」なんて言葉より「全てが結果」と考えるほうが好きなので。「努力した」という結果を認めてもいいんじゃないのかなー、なんて思う。
差込みや見逃しによって本来なら起こりえない結果が発生するなんてことは、水巻プロがベタオリに回っていても起こりうることだし(とはいえどの程度作為的なのかという裁量の差は出るからなんとも言いがたいけど)少なくとも他の3人のプロは納得しているようだったから、そんなに問題はない気がする。
結果こそ伴わなかったものの、水巻プロの戦いは他の三人と同様に評価できるものだったと思う。
今度また同じような機会があればぜひリベンジして欲しい。
もちろん鈴木プロ、吉田プロ、浅埜プロにも、また天鳳を舞台に活躍してもらいたい。
今度は相手が天鳳プレイヤーになるのかもしれないけれど、むしろその方が楽しみだ。
まあ、そこに自分が参加したいとは思わないけれど…。
あんな実況とかされてる状況でマトモに打てる神経が信じられません。
気楽に観戦して、本人たちに比べればずっと楽で、でも少し疲れる感想を書くのが俺のやることでしょう。
でも鳳凰卓有資格者の方々は、ちょっと真剣にそのへん考えておく必要があるかもしれませんよ?
ということで、そろそろ締めくくりましょう。
参加されたプロの皆様はもちろんのこと、方々に手を回して企画を盛り上げようと尽力された関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。どうなることかと遠目に見物していた天鳳プレマッチ、ふたを開けてみれば予想以上に楽しいイベントでした。今後の展開にも期待しております。
ちなみに本日の観戦場所は老馬さんの配信でした。先週に引き続き、天鳳のトップクラスの解説を聞けたのはラッキーでした。鳳凰目指して頑張ってくださいまし。
プレマッチ、楽しめました?ブログランキングはこちら
今回もとりあえず簡単な感想だけと思ったのだけれど、せっかくの最終戦だし興味深いこともあったので書けるだけいろいろと書いてみようと思う。
そもそも今までプレマッチの件について大したことを書いていなかったのは、内容がどうしても牌譜に関連する話になってしまうからだ。
俺は基本的に他人の打牌について何か思うことがない。正確には、ある程度の実力者が打つ牌であればどれでも似たようなもんだと思ってしまう。
根が適当な人間なので、たとえば1+1なんて2でも3でもよくて、100とか1000でなければいいよと割と真剣に考えている。
だから当然細かな打牌選択についての文章も書けなかった。残り枚数が1枚多いからこっちを切るべきだよとか、口が裂けても言えたもんじゃない。
けれど今回は少し事情が違う。
単純な一打一打の話ではなく、麻雀(大会)そのものに関わってくる部分であり、個人的にちょっと興味深いテーマがあった。多分それは、ただ麻雀を打つだけなら何も気にしなくて良い部分であり、プロと呼ばれる人種だからこそ、プレマッチという場に立たされたからこそ考えなければならないことなのだと思う。
事の発端はこのシーンから。
水巻プロは、この6sを見逃した。
ここに至るまでの経緯で、水巻プロには既に優勝の目はなくなっていた。
大会において優勝の可能性を失った選手がどうするべきなのか。
6s見逃しには、この問題に対する一つの考え方が提示されている。
続いて水巻プロは、このリーチに対して一発で7pを打つ。
これまでの対局を見ていれば、差込みと言って構わないレベルの打牌だ。
この時ライブでは各所で疑惑の声が上がり、誰もが水巻プロの真意を測り、憶測を飛び交わせていた。
大きな動きがあったこの二局だけを見ても、明らかに得をしている人と損をしている人が居る。
得をしているのは見逃しを受けた浅埜プロと、差込みを受けた吉田プロ。
損をしているのは、他二人に有利な状況を作られたという意味で鈴木プロ。
トータルでトップを走っていた鈴木プロだったが、最終戦一つ前にして吉田プロと浅埜プロに僅差で詰め寄られてしまった。そうなる原因の一端となった二局を作り出した水巻プロに対しては、この時点で賛否両論の嵐。どちらかというと否定的な意見が多かったように思う。
否定側の意見は大筋で、場を歪めるような打牌を意図的にするのはどうなのかというものだった。
純粋な個人戦である大会において、特定個人に対して明らかに有利不利となる行為があれば、当然それによって結果が変わってしまう可能性を生む。運の割合が高い麻雀とはいえ、一人に対してだけ不利な行動を取る人間が居れば、当然された側の勝率は落ちるだろう。
天鳳プレマッチにおいて、優勝の可能性が限りなくゼロに近い選手が取るべき行動は定められていない。審判制度も実現しなかった以上、その打牌については一切の制限を設けられていないはずだ。
つまりこの時点で水巻プロが取った行動について、それを反則だとかペナルティを課すということはなく、残す最終戦を僅差の三人と大きく離された一人で迎えることになった。
こうして始まった最終戦は鈴木プロが東1局で3900オールをツモったリードを保ち、南2局の水巻プロ親番まで進む。しかしここで水巻プロが6000オールをツモあがりトップ目へ。吉田プロは残り9600点と非常に苦しい場面に追い込まれてしまう。
飛び終了も見える局面、一本場で水巻プロにこんなテンパイが入った。
あがれば12000で吉田プロが飛び、その時点で鈴木プロが優勝を決めてしまう。
やはりと言うべきか、水巻プロはこの東を見逃した。
本来なら終わっていたかもしれない最終戦は、これによりオーラスまでもつれこむことになる。
※感想戦で吉田プロは「水巻プロは自分から当たらないと思っていたので東を切った」と発言しているので、実際にここで終わっていた可能性は無いのですが。
兎にも角にも、ラス目でオーラス親番を迎えた吉田プロが最後に意地を見せつける形になり、1500、12000と点数を積み重ねた上で南4局3本場にこのリーチが入る。
しかし、負けじと鈴木プロも同じ4p待ちでのテンパイを入れる。
奇しくも同じ4p待ちとなり、ツモった側が優勝。
水巻プロに1枚流れた時点で残り2枚となり、こうなればもはや出来ることは何もない。
後はもう、どちらの運が強いかだけの勝負。
勝利の女神は吉田光太プロに微笑んだ。
優勝、おめでとうございます。
で、大団円といけば俺もこれで寝られてすっごく楽なのですが、そうは問屋が卸さないって話なんですよね。
最終戦と、その一つ前にあった水巻プロの見逃しと差込みについては、おそらく見ていた誰もがその真意を知りたかったことだろう。もちろん俺も聞いておきたかった。今後、別にこういう大会を打つ予定はないし打ちたいともさして思わないけれど、2pを切るか4sを切るかなんて話よりずっと面白そうだったから。
終了後まもなく感想戦は始まり、水巻プロはこうコメントした。
「観客に最後まで楽しんでもらえるよう、一人にリードさせず、最終戦まで三人に可能性がある状況を作りたかった」
こちらは雑スレで拾ってきたイメージ画像。
要約しての話なので、本当はもう少し細かいことを語っていたけれど、大筋ではこれで間違っていないはず。
そしてこれは最終日三回戦終了時点までの話であり、水巻プロの中で天鳳プレマッチはここで終わっていたのだ。
目論見としては見事に成功している。大会で三人に優勝の目がかなりの確率で残されている状況というのは大会的に考えれば2番目に面白い状況だ。1番はもちろん四人に可能性が残されていることだけれど、さすがにそれは無理がある。賛否は別にしても、そういう意味では水巻プロは自分がしようとした事を完璧にこなしたと言えるだろう。
優勝の目がなくなった人が何をするべきなのか。
これについての答えは、正直よくわからないままだった。
飛びなしのルールであれば、最後の親番まであきらめるべきではないだろう。
着順によって賞金が変わるのであれば、一つでも上の席を狙うことに意味がある。
けれど、天鳳プレマッチはどうなのだろう。
誰かの点数が25000を割れば終わるし、得られる賞金もない。
最初からオリて参加する意思を見せない。
ネット麻雀らしく回線を切ってみる。
水巻プロは、こういう手段をとることも出来たはずだ。回線はさすがに切らないにしても、最後まで参加せずオリに回るという考えはあったと思う。事実、コメントでは「最終戦をどうするか迷ったままで、判断的に微妙な所もあった」と発言している。
けれど、水巻プロは最後まで一つのことだけは迷わなかった。
「見ている人たちを楽しませたい」
それが成功に繋がったかどうかは、個人的には大した問題じゃない。
(あくまで個人的なのは、プロならそういう部分を結果で示すべきという考え方や、故意の差込みや見逃してそういう状況を演出するべきではないという意見も理解できるから)
やはり興ざめしたという人も居るだろうから、完璧に観客を楽しませたとはさすがに言いがたい。水巻プロだって本来なら自分がトップを取ることで盛り上げたかったのだろうし、それが叶わなかったから苦心の末ということであり、こういう状況は納得のいくものではなかっただろう。
それでも最後まで自分に出来ることを探し、実行に移したという部分は評価したい。俺は「結果が全て」なんて言葉より「全てが結果」と考えるほうが好きなので。「努力した」という結果を認めてもいいんじゃないのかなー、なんて思う。
差込みや見逃しによって本来なら起こりえない結果が発生するなんてことは、水巻プロがベタオリに回っていても起こりうることだし(とはいえどの程度作為的なのかという裁量の差は出るからなんとも言いがたいけど)少なくとも他の3人のプロは納得しているようだったから、そんなに問題はない気がする。
結果こそ伴わなかったものの、水巻プロの戦いは他の三人と同様に評価できるものだったと思う。
今度また同じような機会があればぜひリベンジして欲しい。
もちろん鈴木プロ、吉田プロ、浅埜プロにも、また天鳳を舞台に活躍してもらいたい。
今度は相手が天鳳プレイヤーになるのかもしれないけれど、むしろその方が楽しみだ。
まあ、そこに自分が参加したいとは思わないけれど…。
あんな実況とかされてる状況でマトモに打てる神経が信じられません。
気楽に観戦して、本人たちに比べればずっと楽で、でも少し疲れる感想を書くのが俺のやることでしょう。
でも鳳凰卓有資格者の方々は、ちょっと真剣にそのへん考えておく必要があるかもしれませんよ?
ということで、そろそろ締めくくりましょう。
参加されたプロの皆様はもちろんのこと、方々に手を回して企画を盛り上げようと尽力された関係者の皆様、本当にお疲れ様でした。どうなることかと遠目に見物していた天鳳プレマッチ、ふたを開けてみれば予想以上に楽しいイベントでした。今後の展開にも期待しております。
ちなみに本日の観戦場所は老馬さんの配信でした。先週に引き続き、天鳳のトップクラスの解説を聞けたのはラッキーでした。鳳凰目指して頑張ってくださいまし。
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2 件のコメント:
密かにいつも拝見させてもらってます(*´ω`*)
う~ん、俺もちゃんとプレマッチ見てりゃよかったかなぁ。
>>ウィドゥ@阪神
コメントありがとうございます!
天鳳の公式イベントは今後が本番だと思うので、次を楽しみに待ちましょう(*´ω`*)
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